本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「環境の大切さについて」をテーマにお伝えします。
環境の大切さについて
「氏か育ちか」という言葉をよく耳にしますが、言葉を換えて言うなら、「人間の成長は遺伝で決まるのか、それとも環境に適応するプロセスに大きな影響を受けるのか」ということだと思います。
先日ある方からトマト栽培の話を教えていただいたのですが、特別な例とは思いますが、育て方によっては1つの蔓から17,000倍もの蔓を育て実をつけることも可能だとのこと。
人間も同じで、持って生まれた才能の違いにはどうやったって敵わない世界はあるものの、育っていく環境が整っていれば、大きな実を結ぶことが可能だと考えています。
ではその環境は、周囲の人が作ってくれるものなのでしょうか。
もちろん周囲の方々に頼ることもあるでしょう。特に幼少期、児童期には家族を中心に周囲の人間に育ててもらうことになるでしょう。
青年期以降は、自分自身でも自らの心の畑を耕し、多くの実ができるように手入れをすること、そして隣の友人の畑がもし荒れていたら、少しでもいいから一緒に耕せるように気を配ってあげること。
そのようにして、環境をつくりあげていくことが必要と思っています。
でも時には他者にちょっと甘えることも大切なのでは?とも思います。愛嬌も人間関係を作っていく上で、大切ですよね。
心理学者のクルト・レヴィンが、その人の「行動」は、その人自身の「パーソナリティ」とその人を取り巻く「環境」の掛け算によるものである、と言っています。(場の理論)
私たちは、自分の意にそぐわない他者の行動の源泉を、その人の「心根」に求めがちですが、その人の置かれている環境にも要因がある、ということを心に留めて、行き過ぎた誤解をしないようにするとともに、自分自身の心の環境を常に整えていきたいと思います。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。