本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「私たちが学びたいこと」をテーマにお伝えします。
私たちが学びたいこと
私たち職業人、特に営利目的の企業人には、仕事に必要な「知識」とそれを使える「スキル」、そしてそれらを使って利益を生み出せるような「思考・行動」を学ぶことがまずは求められます。
それは企業人として、労働の対価を賃金という形で受領する以上、好き嫌いに関わらず、一種の責任であるからです。
でも社会生活をしていく中では、すべてが順風満帆とはいかず、色々と不条理な世界も経験し、そのたびに笑いと涙を繰り返しながら上記の基本的な枠組みに適応していく・・・これが現実とも言えるかと思います。
企業人として、本当に学ぶべきこととして、「眼に見えないものの大切さ」があるのではと思います。分かりやすく説明すれば、身体の傷は他者から見ても理解できるが、心の傷は分かりにくい。それを理解できるような人間に育ってほしいと思います。
でもこのことは、大学で学生だけが学ぶことではなく、ビジネスの第一線に身を置く人間にとってこそ、また政治・社会で他者に影響力を持つ人間にとってこそ、意識をしなければならないことであるとも感じます。
一方で他者の心に対しての配慮や寄り添いの難しさも感じています。私たちは、doing(行動、やるべきこと、できること)だけではなく、being(その人の存在、その人を作ってきた背景やキャリア)にも目を向けるような学びを、特に意識して行っていかなくては、と改めて思いました。
また、「目に見えないもの」は、「人の心」ももちろんですが、過去から現在にいたる歴史もその一つであると思います。マスメディアを通して現実に展開している事象に対し、過去から繋がっている歴史上の事柄を照らし合わせて正しく理解しないと、現在に生きる我々が間違った判断をして、次世代の方々に負の遺産を残してしまいかねません。
常に周囲を見ながら学ぶ姿勢をもち、必要な時に勇気をもって決断し、物事を変えていく行動を起こすことは、決して楽なことではありません。でも、少しずつでもそういう意識を持つ人たちと協働できれば、今よりきっと大きな力になるのだろうと思います。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。