本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「知識は予防になる」をテーマにお伝えします。
知識は予防になる
最近始めた学びの一つなのですが、「gacco」というWEB配信型の教材があります。
その一つに、「心理学スパイラル」という講座があり、そこで学んだ話しです。
その中に、「風船のたとえ」というものがありました。
膨らんだ風船にとがった針を指すと、瞬時に破裂してしまいます。でも、セロテープを何重か貼っておいて、その部分を針で刺すと、穴は空くけれども破裂しません。(刺さったままになります) 針を抜くと、穴は空いているので空気は抜けていきますが、それもゆっくりと抜けていくだけです。
これは、ストレス状況においてある予期せぬ刺激が与えられたとき、心理学的な知識(=このたとえでは、セロテープの保護のこと)を持っていれば、状況を客観的に見ることができるゆえ、何等かの対処がしやすい。だからそのような、「知識を学び自分のものとする姿勢」は大切ですね、というメッセージでした。
これは心理学的知識に限らず、ビジネス系の知識でも、広い意味での教養でも、自分自身で努力し知識を得て、それを自分自身の幅を広げることは大切であるということと同義だと思います。
会社に9時に出社し、決められたことを自分のペースで行い定時に帰社するという機械型労働では、そのような仕事は近い将来にはAIにとって代わられるでしょう。機械は、疲れず、言い訳をせず、嘘をつかず、ごまかさず、自分にも負けずに24時間働くからです。ゆえに我々は、仕事時間外であっても、様々な社会事象に対して興味を持って情報収集し、その情報をつなぎ合わせることによって新しい価値創造の可能性を常に考えることが必要と思います。
よく人生経験が豊富な方々の中には、机上の学びによる知識を軽視し、経験を重視される方もいます。けれども人間は、知らないこと、また知らない概念は、自分が思っているよりもはるかに多く、それを経験によって補うことは無理があります。自分の経験によらない学習、すなわち他者の経験を活かさせていただく「代理学習」は、今後さらに必要となると確信します。
それこそが新しい、ユニークな、AIが創れない人間らしい価値創造の方程式だと思うからです。
代理学習という意味では、読書も大切だと思います。
難しいビジネス書を読むことも時には必要なのでしょうが、小説でも学びは大きいと思います。なぜなら、本の中の主人公の生き様は自分自身で経験できないものであり、その生き様に共感することができるなら、昨日よりも今日は少しだけ優しくなれた、ということなのではないかと思うからです。