本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「10年間続ける」をテーマにお伝えします。
10年間続ける
友人の勧めで、『新!働く理由(戸田智弘著)』を読みました。
その中に、小説家の高橋克彦さんの言葉がありましたので引用させていただきます。
その二、三十人の中で僕が一番うまかったから物書きになったかというと、絶対違うんです。わずか二、三十人の中でも僕よりうまかったのが最低でも五、六人はいました。その当時、絶対に僕より才能があった、その連中が一人も物書きになっていないのは、仕事とか家庭の問題とかであきらめただけなんです。
小説を書くということは、それほど難しいことでもないと思うんです。ただ、書き続けるというか、書きたいという願望を持ち続けられるかが一番の問題点なんです。
これは小説家としての問題だけでなくて、夢を持ったときに、どんなものでもいまの世の中は十年その願望を持ち続ければ、必ず成就するというふうに思いますよ。十年間何かに熱中するということは、好きなことであってもなかなか難しい。逆に言うと、十年がんばるという気持ちでいれば、たいてい成就します。
教育改革実践家の藤原和博さんも言われていますが、「一万時間の法則」というものがあります。スポーツでも音楽でも何の分野でも、一万時間費やせば一流になれるというもの。1日3時間そのことに費やせば、1年間で約1000時間、10年で一万時間となります。高橋克彦さんの言われる「10年間続ける」ということと符合しますね。
このことは、「差別化できるその人らしさ」として何かが認められるようになるためには、
持って生まれた少しばかりの才能に頼るのではなく、一定期間継続して努力をすること、すなわち「努力の投入量」が大切な要素であるということだと私は思います。
楽しいことでも長期間継続することは難しい、ましてや辛いことであれば、継続することは地獄です。私が考えるに、もし現在の仕事や職場が辛いことだとして、「仕事だから辛いことでも我慢する」というのは、ある程度は必要とは思いますが、自分の心を壊してまで我慢してしまってはいけないと思います。「好きでもないことを嫌々やって成功できるほど甘い世の中じゃない」と思うからです。
私は、物事を継続するにあたり、「その延長線上に夢を持つこと」と同時に、「そのための努力をいかに娯楽化できるか」が大切だと思います。もしこれらが無ければ、成長実感もわかないし、日々の地味な努力も暗い感じになってしまう。
私自身、これからも夢を追いかけたいと思っています。