新卒や中途採用者を迎えるに当たって多くの企業が OJT(On the Job Training)を取り入れています。しかし誤った取り入れ方がされている企業も少なくなく、思うように効果が得られていないことも多いようです。
そこで今回はその原因や効果的なOJT研修を進めるためのポイントを徹底解説していきます。
OJT研修のメリットとは?
そもそもOJT研修をすることによって企業側や新入社員にどのようなメリットがあるのかを解説していきます。
業務効率の向上
「OJT研修に時間を回すくらいなら、戦力になる社員を一人でも多く現場においておきたい」と言う気持ちは分かりますが、急がば回れとはこのことです。長期的な視点で見ると、優秀な人材を育てることによって、チーム全体の業務効率は間違いなくアップします。
即戦力の育成
上司や先輩社員からの指導を受けながら新人自身が試行錯誤し、実地にもとづいた教育を受けることができるため、効率的な即戦力の育成が可能です。もちろん座学での研修が必要な場合もありますが、実務経験こそスキルの定着に有効であり、即戦力が養われます。
不安の解消
実務経験をすることによって、新人の能力値が明確になります。そのため、教える側も一人一人の現状と課題を具体的に把握し、育成計画を立てることが可能になります。現時点での「できること」と「できないこと」、さらには成長への道筋がクリアになることで、新人の不安が解消されやすいでしょう。
OJTがうまくいかない原因とは?
「せっかく忙しい中時間を割いて行ったOJT研修の結果が思うように得られなかった」という企業も多いのではないでしょうか?一体なぜ効果的なOJT研修が行えなかったのかを、よくある事例でまとめてみました。
教育にかける時間が不十分
教える側の時間を十分に確保できておらず、新入社員が理解しきれていないまま研修を終えてしまってることが多いです。OJT期間中、教える側は自身の仕事との同時進行で非常に忙しくなります。個々に任せ切りになるのではなく、研修時間を確保できるよう組織全体で協力する必要があります。
教える側の知識やスキルが不十分
教える側の知識不足、スキル不足が原因で、新入社員に適切に教えることができていないケースも。または、実務知識は豊富でも、「わかりやすく人に説明するスキル」が欠けている場合も、新入社員は理解することができないままOJTを終えてしまいます。教える側の実務知識、スキルの豊富さはもちろん、伝えるスキルもOJT研修をするにあたって大変重要です。
計画や目標を設定せずに実施している
なんの計画も目標も設定せずにOJT研修を行うと最終着地地点が見当たらず、教えられる側はもちろん教える側も混乱してしまいます。しっかりと計画を立て、目標設定を行った上で研修を実施しましょう。
効果的なOJT研修を行う3つのステップ
それではどのようにして研修を進めることが効果的なのかを3つのステップで解説します。
OJT研修の目標を明確にする
OJT研修を受け、新入社員には最終的にどのような学びを得てほしいのか。しっかりとした目標を教える側に明確に共有することが重要です。
目標達成のためのカリキュラムを達成する
目標を達成するには具体的にどのように段階を踏めばいいのかのカリキュラムを作り、実際に新入社員に実践させます。一つ一つ段階を踏ませることで得意、不得意な業務が一人ひとり見えてきます。
フィードバックをしっかりする
フィードバックをすることによって、新入社員の課題がお互い明確に認識できます。面談の時間を取って伝えることが難しければ、日々の業務の中で伝えることもできます。不得意分野の業務を行わせているときに、新人のフォローをしながら注意を促すこともできますし、また、得意分野はしっかりと褒めましょう。
できている点を承認することにより、教える側と教えられる側の信頼関係が生まれ、新人は不安要素が出来たときにも安心して上司に聞くことができるというメリットもあります。最近では「聞くことは悪いこと」と思っている新入社員も少なくないので、何かあった時は安心して相談をできる上司がいるという安心感を作ることも初めの頃は重要です。
まとめ
今回の記事では、OJT研修を行うメリットやOJT研修を充実させるための方法についてご紹介しました。
上司の立場として働いている皆さまの中には、「なかなか新入社員が成長しない」「入社してからもうずいぶん経ったのにまだこんなことも出来ないのか」と不満を抱いた経験をお持ちの方もいるかもしれません。しかし振り返ってみると、忙しすぎて新入社員の教育にまで十分に時間を取れておらずほとんどを見よう見まねで覚えさせていた……ということもあるのではないでしょうか。
OJT研修は教えられる側も教える側も多大な努力が必要ですが、効果的なOJT研修が得られた企業は、その後の新入社員の成長や組織力の向上が大きく期待できます。「優秀な人材がなかなか入ってこない」「なかなか社員が育たない」と考える企業こそぜひOJT研修を取り入れて、即戦力を育ててみてはいかがでしょうか。