本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ3~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「責任を取るのはいつだって自分」をテーマにお伝えします。
責任を取るのはいつだって自分

陸上競技のアスリートで現在は執筆・講演活動をされている為末大さんが、
『為末メソッド 自分をコントロールする100の技術』という本を出版されています。
その中に、「責任を取るのはいつだって自分」というメソッドがあります。
以下抜粋いたします。
世の中は不条理で、理不尽で、不公平。でもそのことに対して、僕の考えはいたってシンプルだ。不平や不満があって、それを変えたいのなら、変えればいい。変えられないのなら、その中でうまくやっていく方法を考えればいい。世の中との向き合い方はこれしかないと思っている。
人生の選択肢は無数にあるというけれど、選べるカードの枚数や種類は、人によって違う。生まれながらにして、有利不利が決まってしまうこともある。その差は確実に存在していて、簡単には覆らない。僕たちにできるのは、選べるカードの中から、最良のカードを選び取っていくことだけだ。(中略) 責任を取るのはいつだって自分なのだ。(本文より抜粋)
現代の科学では、その人のDNAを調べれば、その人の身体的な特徴や病気のかかりやすさまでわかってしまうとのことを聞いたことがあります。人間は、所詮は不平等に生まれてくるのです。時代も社会環境も、自分で選んで生まれてくることもできません。
ですから為末さんのおっしゃるように、選べるカードの中から最良のカードを選んでいくことしかないし、そのカードは考え抜いて選ぶというよりは「好きか嫌いか」あるいは「理論よりは勘」で選ぶことの方が、その人らしい人生を歩むことができることも、合わせて教えてくださっています。
満を持して臨んだシドニー五輪で競技終盤にミスをしてしまい、その結果準決勝進出を逃してしまったとき、世界の終わりかのように感じた自分がいる一方で、翌日の世の中は何も変わらず動いていることの対比を体験したといいます。そんな体験から、為末さんは、「もしかして大事なことなんて何もないのかもしれない」と、大きな気持ちの転換が起こったと綴っておられます。
私自身、企業人としての大きな躓きも経験してきましたが、それは私の中だけに生じていた井の中の波紋でしかなかったのかもしれません。
もっと自分を取り巻く環境を相対化し、違うカードを気持ちよく選べるような自分になりたいと思います。