本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「情報編集力について考えること」をテーマにお伝えします。
情報編集力について考えること

元リクルート社の藤原和博さんは、初めて民間人として公立中学の校長をされたことで有名になった方ですが、現在は教育改革実践家として活躍されています。著書も多く、講演も非常に示唆に富んだ内容のお話しをしてくださいます。
藤原さんは、現代の企業人は、正しい答えを迅速に出す「情報処理力」には優れているが、正解がない問いに対し、自分も他者も納得できる納得解を作りだすような「情報編集力」はあまり持ち合わせていない、とおっしゃっています。
日本国の現在の立ち位置から考えてみますと、高度成長期はもとより、低成長も含めまだ成長余力を感じた時期には、社会が正解として向かっていく方向が見えやすかったと思います。護送船団方式をはじめとするその勝利の方程式は、日本国が環境を作り、経営者は長年の経験から自らの歩む方向性を見つけることが常道でした。でも現在の日本は、「成長」というよりは「成熟」であり、生き残るための方程式を誰も作ることができないまま、各企業は模索しつづけているように見えます。
しかしながら、この成熟時代にそもそも「正解」があるのかといえば、疑わしいです。藤原さんのおっしゃるように、「正解を探す」というのではなく、その人のユニークな思考と経験を基に、情報を束ねて新しい価値を作り、それを他者とシェアできるような「編集力」こそが求められるのが、これからのビジネス価値の王道になってくるのかもしれません。
『思考の整理学』という本の中で、著者の外山滋比古さんは、以下のように記されています。
「学校教育では、知識をたくさん所持して忘れない人間が優秀とされていたが、現在はコンピュータの登場で、その優位性はなくなりつつある。人間は、コンピュータのできない創造的作業を行うべきである。そのために、知識を詰め込みすぎて、思考空間がなくなるようではダメで、忘却も必要かと。でもその忘却も価値観に基づいてなされるべきで、大切なことを忘れ、つまらないことを覚えているのでは本末転倒である。」
価値観と言えば・・・
先日、グレタさんもスピーチされていましたが、将来に生きる企業は、自社利益だけでなく自然環境への配慮、働く社員に対する配慮(ディーセントワーク)など、社会的存在としてのマナーが求められるようになりました。働く個人も同じように、「改革」の名のもとに権利だけを主張するのではなく、組織・社会への貢献とともに、自利利他の気持ちをもって任に当たることが大切だと思います。
私自身もそのような価値観をしっかりと持つことから、情報編集が少しでもできるような働きをしたいと思います。