本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「ストレスの捉え方」をテーマにお伝えします。
ストレスの捉え方
スマホの機能自体が人間に対して一種の報酬をもたらすものであり、依存性をつくるものであること、またそれゆえに利用過多となると集中力が散漫になり、社会生活をしていく上での支障をきたしやすくなるとよく言われます。
但し、現代人としてスマホ無しの生活は難しいですから、スマホに使われるのではなく、自己制御しながらスマホを上手く使っていくしかありません。
人間の歴史の中で、産業革命以降の近現代の期間もさることながら、スマホが生活の一部として使われるようになった期間は僅かのことであり、人間の有史の1万分の1位であるとのことです。(この換算の仕方は、人類の定義によっても違ってくるでしょう)人間の脳は、スマホを使いこなす現代生活に適しているものではなく、大半は「食うか食われるか」の狩猟時代に培われたものが、そのまま現代の私たちに残って適応されています。すなわち、私たちの脳はまだサバンナに適応しているのです。ですので、スマホだけでなく生活全てがIoT化され、効率化・合理化が豊かさや幸せの基準とみなされるような現代社会にあって、そういう生活にストレスを感じて不適応になる人が多くなるのはうなずけます。
ストレスは、人間にとって敵でもあり味方でもあります。なぜなら、HPA系(=脳の視床下部、下垂体、副腎皮質のことを指し、普段はホルモン分泌のバランスを取っているが、ストレスが過剰にかかると破壊されてしまうこともある)で作られるストレス機能が理的に止まってしまうと、意欲が無くなり人間らしい生活ができなくなるからです。でも、そもそも私たちが長い間適応してきたストレスは、野獣に遭遇したら「逃げるか闘うか」というたぐいのものであり、3分もすれば緊急なストレス状況からは解放されてきたわけです。(食べられてしまって絶命した、ということも多々あったのでしょうが。)
でも現代のストレスというのは、3分で解決するものというよりは、常に長期で感じているようなストレスが多く存在します。いつも扁桃体による火災報知器が鳴らされるような状況ですので、常に戦いの状態で長期に備えているようなものです。ですからそれだけ負担が大きくなり、それが睡眠に影響したり、免疫系や生分泌系にマイナスの効果をもたらしたりします。
ストレスをバネに自分自身を成長させていくことも大切ですが、自分の置かれている環境を将来も含めた時間軸や人間関係、自身のコンディション、また感情の視点など総合的に考え、ときには「逃げる勇気を持つこと」も大切であると改めて考え直しました。