本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「失敗は貯金である」をテーマにお伝えします。
失敗は貯金である
ビジネスリーダーを育てる社会人大学院として有名なグロービスさんの教材で、以前あるシンポジウムを拝見しました。
パネリストは予防医学研究者の石川善樹さん、登山家の栗城史多さん、オリンピアの為末大さんで、テーマは「限界突破のためには、自分を疑い、『枠』から離れよう」という内容でした。
その中でパネリストは、「偉業を成し遂げる人は特別な人ではなく、知能指数と社会的成功は無関係である」とのことを話されていました。では、どのような人が成功者になるか・・・
それは日々の目標設定の仕方にポイントがあるとのこと。
遠い目標設定ではなく、身近な成功可能性のある目標をこまめに設定して、その到達に向けてポジティブに工夫できることが大切なようです。
オリックスから米国にわたり、数々の記録を遺したイチロー選手も、小さな成功体験を積み重ねる大切さを語っていました。
また、物事は単発で見るのではなく、物事と物事を紡いでストーリーとして解釈することも大切であると、このシンポジウムの中で話されていました。
「失敗」は、その時にはとても辛いこと、悔しいことで、短期的にはマイナス要因なのかもしれませんが、ストーリー的視点で見たときには、「失敗」こそが「貯金」であるとも考えられます。
No Pain, No Gain
痛みを伴わなければ、本当に得るものを得られない。自分の人生の土俵で、「失敗」をキャリーオーバーとして取り扱えるようになれば、次のチャンスもまた広がってきそうですね。
物事は、人それぞれの「認知」で全く違った世界に変わります。過去の記憶すら、ストーリーの中で書き換えることも可能といってもいいくらいに、考え方や捉え方によって大きく変わります。
偏った認知を少しでも柔軟なものに変えられるように、またポジティブに自分の与えられた個性を活かせるように、普段の思考・行動を見直していきたいと思います。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。