本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「歴史の進歩とは何か」をテーマにお伝えします。
歴史の進歩とは何か
昨今、SDG’sやESG投資が叫ばれています。2021年英国グラスゴーで開かたCOP26では、「2100年までに産業革命以前との比較で気温上昇を1.5度までに抑える」という目標が採択されたとのことですが、その実効性は疑問視されています。
科学技術の進歩は、私たちの生活を豊かにしました。一定のコストを支払えば、肉体的な労を割かなくても普通の生活が行えるよう、エネルギーから家電、食料品、各種消費財まで、生活環境は整備されてきました。その便利さの追求と実現が、豊かさの象徴ともなっていると思います。
しかしながらその反面、消費が増加し続けるエネルギーの供給を補うために、原子力発電は必然の設備となり、安全を脅かすものとなりました。また車の排気ガスや重油燃焼に代表されるような二酸化炭素の排出量の増大は地球温暖化を、またあらゆる石油化学製品の消費財の過剰生産は、海洋汚染をはじめとする環境破壊や正常な食物連鎖の危機を招いています。
一見、我々の生活は豊かになっているように見えても、それは「今」を生きる先進国に住む人間の生活であって、現在でも『不条理な苦痛』、宗教対立や政治的な軋轢の中で苦難を強いられている人びとは沢山存在するし、また豊かと見える私たちも、問題を将来に先送りしているだけなのかもしれないと思ったりしています。
また、企業の自助努力では、先送りしている人類の課題を解決することはできないという声もよく聞かれます。では私たちは、そういう課題を解決できるカリスマ政治家を求めるしかないのでしょうか。
否、まずは一人ひとりの気づきと共有、そして小さくても行動に移していく勇気を出し合うことなのではないかと思います。
自分自身、偉そうに論じることなどできない消費的人間なのですけど、身の周りでできることを考えていこうと思います。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。