本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「直感は訓練によって身に付く」をテーマにお伝えします。
直感は訓練によって身に付く
自然科学はもちろんのこと、現代では社会科学もなるべく「サイエンス」で解明し、そのメカニズムをもって答えを導き出すことが常道だ、という風潮が強いですね。
私の現在専攻している心理学も、心という見えない相手に対し、なんらかの概念を使って仮説検証をしたり、先端機器の分析技術を用いて科学的に捉えようとしている部分が多いと感じています。もちろん、このような手法も人類の幸せを追求するためには必要だと思います。
一方で私たちは直感というものを持ち合わせています。理由はわからないけれども「これしかない」と感じるのが直感であり、一種の手続き的記憶のようなものだと言われています。
自転車を操作するのも、箸を使うのも、特段私たちは考えることなく身体が反応しますよね。そういう身体が自然と反応するようなものが直感だと思います。
でも、思考の上で直感的に物事を判断して正解も導き出せるのは、多くの訓練や経験に裏打ちされているからであり、新規なものに対しては直感は働かないようです。
人間の記憶はコンピュータのように正確に記録され、写真のように細やかに格納されているわけではありません。脳のキャパシティの上で、そんなことをしたらオーバーフローしてしまいます。記憶は、ある意味自分の都合のいいように曖昧に保存されるのです。
従って直感というものは、意識の部分よりは無意識の部分からの応答でもあり、コンピュータとは異なる人間固有のユニークさや可能性を示してくれるものだと思います。
コンピュータ全盛で、AIが人間にとって代わると言われる時代にあって、「直感」の存在を知り、ITリテラシーが欠如している自分には、ちょっとほほえましく感じました。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。