本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「中学生との対話~職業講話を通して~」をテーマにお伝えします。
中学生との対話~職業講話を通して~
先日、あるボランティア団体の活動に参加しました。オンラインですが、ある学校の中学生に対し、社会人の先輩として自分自身の今までの職業生活を語るとともに、中学生からも働くことや職業自体のこと、また働く意識や思いなどについて質問を受けて応える、という企画内容でした。
15名ほどの中学生と対話する機会となりましたが、どの学生さんも真剣に話を聴いてくれて、また色々質問をしてくれたのがとても嬉しかったです。終了後には学生さんの振り返りシートも見させてもらいました。そこで感じたことは、同じことを話しても、受け取る人によって、捉え方が異なるということでした。
たとえば、仕事の中で辛かった経験談を自分になぞらえて捉えようとする人もいたし、趣味の世界(=私の場合はバスケットボールの話題)の話がとても印象に残ったという人もいたし、また育成や不調者対応など、私の現在の仕事に興味や共感をしてくれた人もいました。
普段の仕事上のコミュニケーションの際も同様に感じるのですが、情報の送受信の際には、その人特有の感性があり、「正解」があるというものではありません。
人によっては、自分の感性こそが正解であるとして、他者の思考を簡単に批判する人間もいるのですが、それには「優しさ不足」を感じます。たとえ拙い表現でも、他者の思いや言いたい事について、その行間を読んでフィードバックしてあげること、そういう余裕を持ちたいものです。
自分と他者は異なる存在ですので、理解し合うことはとても難しく限界もあります。でも、そうしようと努力している姿勢は理解できるのではと思います。
言葉の発信の仕方、受け取り方の個性が、人間関係の誤解や断絶を生むのではなく、それぞれを活かし合うようなエネルギーになれるように努力すること、そして自分よりも若い世代に大切なことを考えるバトンをしっかり渡していかねばならないこと、これらを今回のボランティアで学びました。
そのためには、日々の生活を流されるように送るのではなく、何が大切でこれからの若い世代に継承していくべきことなのか、私たち先輩社会人が常に意識して歩まなければならないと感じました。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。