本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「日々の過ごし方」をテーマにお伝えします。
日々の過ごし方
社会生活を営む上で、自ら事業を起こされていらっしゃる方、また企業にお勤めの方などそれぞれ色々な環境で働かれている方がおられると思います。
環境は異なるかと思いますが、「日々の歩みはすべて楽しいことで占められている」というとても幸せな方は、私が想像するに、かなり少数なのではないかと思います。
仕事のことであったり、人間関係であったり、何かしら重たい、ネガティブな、解決を迫られるような課題が突き付けられることも、我々の毎日には少なくないのではないでしょうか。
かくいう私も企業勤めをしておりますが、実感として7割方は、自分の不得手な役割を何とかこなしていくことであり、疲労してしまうことも多々あります。
ご存知の方も多いと思いますが、ポジティブ心理学の祖であるセリグマン教授は、幸福(well-being)となる要素として、PERMAモデルを提唱されておられます。
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PERMAモデル
P:positive-emotions = ポジティブ感情
E:engagement = 何かに没頭する
R:positive relationships = 人との関係
M:meaning = 生きていく意味
A:accomplishment = 達成
引用:心理学研究所 「PERMA-Profilerの説明」 金沢工業大学 (参照 2022-11-24)
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これら5つの要素をうまく組み合わせ、そしてレジリエンス(逆境にあってもしなやかに耐えうる力)も合わせて発揮するとき、その人らしい個性が現れて、物事に前向きに対応できる可能性が高くなると思います。特に私が大切だと感じるのは、「meaning = 人生の目的や意義」の要素です。
それぞれの人生のステージで我々は色々な役割を持ちます。企業でも同じで、社員が各自の役割を全うすることで、企業体としての目的が達成される。でもその一人ひとりの役割というのは、ただ単に労働契約上の対価を得るための労働手段だけと考えればよいのでしょうか。
もちろんそのように割り切ることも可能です。
ただそれぞれの役割には、単なる手段を超えた必然があり、「その人にこそ与えられた役割である」という「あるべき意味」を考える必要もあるのではないでしょうか。そう考えるとき、同じ辛さであっても自分自身で前に進む力と、同志とともに進む一体感や力強さも感じることができるのではないかと思うのです。たとえ末端の実務であってもです。
「意味を考えること」を放棄してしまうのであれば、本当にシンギュラリティが訪れる頃には、我々の多くの仕事は名実ともに消滅するでしょうし、ビジネスパーソンとしての価値も消え失せてしまうのでは、と思ったりしています。
ポジティブに思考し、自らがキャリアの主人公となり、辛くても自ら決断をして責任を取りながら歩を進めるとき、はじめてwell-beingが与えられるではないかと思います。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。