本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「所有や消費よりも創造を」をテーマにお伝えします。
所有や消費よりも創造を
今後の社会は次の3つのようなシフトチェンジが必要になると思います。
・専門技能の習熟を通したキャリア形成
・幅広い人的ネットワークの形成
・消費志向ではなく、創造志向への転換
この3点を俯瞰して見ると、「脱昭和的な生き方」といえるのかもしれません。
日本が右肩上がりの経済成長を謳歌できていた時代は、社内でもジェネラリストがもてはやされました。現在でも、スキルや人間力の点でバランスを逸したスペシャリストは組織適応の点で疑問ですが、逆に専門技能の無い調整型人間も、尖った価値を生み出しにくいし、自分自身の立脚する場所が無いために、社会変化に対して非常に脆いです。特に社外転出を考えた際には、代わりはいくらでも存在するという労働市場に埋没しかねません。
また、1つの会社で働くことが通常であった時代には、社外人脈をそれほど重視しなくても、社内序列さえ意識していれば何とか食べていくことができました。でも、雇用継続の保証が何もない時代に、1つの会社にしがみついてその会社の論理だけしか学ばないとすれば、有事の際には何も分からない、何も動けない、ということになってしまうでしょう。常日頃から社外や地域の人脈を通じて、自分を客観視するとともに、今後必要なスキルや知識を修得していくことが求められているのです。
さらに昭和の時代は、「何を所有してどれだけ消費できるか」という点に焦点が当たっていました。それが成功者の一つの証であったからですが、現在は「所有よりはシェア」「消費よりは生産、創造」という価値基準に変わってきています。
SDGsを始め、地球規模で後世への資源のバトンタッチを考えるような動きが盛んになりましたが、今では消費的な行動は、「カッコ悪い」イメージに繋がりつつあります。「自分の時間を何か新しい価値創造に情熱的に打ち込む」姿が、トレンドになっていくのではないでしょうか。
小さなことでも構わないと思います。
自分らしい思考・行動で、社会に対し何か価値を生み出せるような、そういう生活にシフトチェンジしていけるよう、改めて考えてみたいと思います。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。