近年注目を集める「リカレント教育」についてみなさんはどのくらいご存知でしょうか。会社で提供する社員教育や技術研修と違うことは分かっても、会社として社員にどのように提供すればよいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。リカレント教育の概要やリカレント教育の事例について解説していきます。
リカレント教育と求められる背景
リカレント(recurrent)という言葉には「繰り返す」「循環する」という意味があります。つまりリカレント教育という言葉には社会に出た後に、もう一度必要に応じて教育を受けるという意味があります。これまでは学校を卒業し社会人になると、ある一つの会社で働き続け、定年を迎えたタイミングで仕事はやめる、という流れが一般的でした。
しかし平均寿命が伸び定年が来ても実はまだまだ働ける、といった人が増えてきたことや、終身雇用・年功序列に代表される日本型の雇用環境に変化が表れてきたことを背景に、働きながら学んだり再び教育を受ける必要性が高まってきました。
上記に加えて時代の変化が凄まじく、どんどん新しい技術や知識が出てきてそれに対応する事が求められることも増えてきました。そういった状況に対して学び直す重要性も高まってきたことからリカレント教育の重要性が叫ばれるようになりました。
リカレント教育のメリット
1.収入アップにつながる
リカレント教育のメリットの一つは「収入につながる」です。時代が進むにつれ技術がどんどん進化したり産業構造が変わったりする中でさまざまな事業が生まれてきます。そこには新しい需要が発生しも読められる人材像も変わってきます。
また、平均寿命が伸びていることにより、生涯に渡って必要な資金が増えつつあります。一生涯の中で働く時間が伸びるということは長い間稼ぐ必要がある、ということです。人生100年時代、稼ぐためのスキルを身につける重要性がどんどん高まっていると言えるでしょう。
2.自分らしい働き方が手に入れられる
別の視点ではリカレント教育によって「自分らしい働き方を追求できる」というメリットがあると言えます。
時代の変化とともに変化するのは職種だけではありません。働き方も多様化しています。従来、特に日本では、朝早く通勤して、夜遅くに帰宅するといった形態が主流となっていましたが、現在では少しずつ変わってきています。例えば、完全在宅で、一人で業務をこなしながら生活している人、近くのカフェで仕事をこなしている人、さらには旅行しながら仕事をこなしている人もいます。
リカレント教育によって新しいスキルを獲得することで働き方を能動的に変更することも可能です。長い期間働く中でライフスタイルに合わせて働き方を変えていくためにもリカレント教育は有効です。
リカレント教育のデメリット
1.日本にまだ馴染みのない概念である
デメリットの一つは、日本にあまり広まっていないという点だと考えられます。例えば、「プログラミングを学びたいので、1年間の休暇をください!」と申請して果たしてこれがどれほどの同僚や上司、企業が認めるでしょうか。実際、これらを理由に休暇を取得できる企業は日本にはまだ少なく、将来のことを考えて学習したいけれども、本業があるからそれができないといったケースは多数あるのではと考えられます。
2.費用が意外とかかる
他にもデメリットとしてコストがかかる、ということが挙げられるたと思います。教育とは経済学では投資と考えられていますが、自己投資ともなれば自己資金での学び直しとなり、非常に大きなコストがかかります。費用をかけて勉強して知識やスキルをつけても生かせない場合は学習費用を回収できない、といったことも考えられます。
リカレント教育の事例
ここまで、リカレント教育のメリット、デメリットを見てきました。ここからはリカレント教育の情報サイトや事例を紹介していきたいと思います。
1.マナパス
マナパスは、文部科学省がリカレント教育推進のために公開している情報サイトになります。「いつでも・どこでも・誰でも学べる社会に向けて、社会人の学びの情報をお届けする」をコンセプトにさまざまな情報にアクセスすることができます。例えば、資金面で躊躇する人を支援する目的で職業訓練給付金や奨学金の対象となるコースの紹介や、周りに学び直しに取り組んだ人がいない人の不安を払拭することを目的とした経験者の声を掲載したページなどが用意されています。
2.日本女子大学の例
大学でも、数多くのリカレント教育に関するプログラムが用意されています。例えば、日本女子大学では、女性の再就職支援として、会計や金融、ビジネスの講座といったものが用意されています。大学では、入った学部によって、ある程度学ぶ学問が決まってしまうため、このような機会に学べなかった学問を学べるということは、かなりありがたいのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか。リカレント教育はまだまだ発展途上の分野であり、今後の発展や更なる取り組みが見込まれる分野です。VUCAの時代と言われますが、どんなに状況が変わっても学び直すことで対応できるように少しずつ学び直しに取り組んでみてください。