本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ3~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「仕事の対価はお金ではなく評価である」をテーマにお伝えします。
仕事の対価はお金ではなく評価である

ある方と仕事の話をしていたときに、その方が「仕事の対価はお金ではなく評価である」との話をしてくれました。
もちろんその方は、お金が不要だと言っているのではありません。でも、社会生活をする上では、「お金では得ることのできない大切なものがある」と言っているのです。
人間は社会的動物です。個々人の自律は必要ではありますが、役割分担をしながら集団を維持することに貢献し、所属の権利と義務を共有してきました。ですから、人類の歴史の中で、種を守るためにこのような行動を採ってきたので、「社会脳」というものが他の動物よりも発達しています。
でも「社会脳=新しい脳」を前向きに活性化させて、「貢献を通してもっと組織を良くしていきたいし、自分も成長したい」、更に言えば、「自分の後に続く世代の人たちにも幸せになってほしい」と考える原動力は、「感情」の部分であり、これは動物としての古い脳の部分にあたります。
「お金より評価が大切」という言葉は、一生懸命費やした汗に対し、
「良くやったね。ありがとう。ちゃんとあなたの頑張りを見ているよ」というその人への承認を大切にしたい、ということだと私は思います。
汗の量が軽視されて効率性ばかりが求められ、他者への配慮を自分の損失だと勘違いするような損得亡者が跋扈し、価値観の多様化というテーマを隠れ蓑にして好き嫌いを当然のことと主張するような現象も見られる昨今です。
自分の中に常に武器を隠し持っていなければ、メンタルもやられてしまう・・・そう考えて予防線を過剰に張り合うような組織では、良い仕事はできないと思います。
「お金より評価が大切」と言った方の思いに、私は大きく共感しています。
武器を持たなくても、自分自身の個性を素直に安心して表出できること、努力したプロセスは信頼関係の中で承認されること、だから自分も他者のためにできることを考えること、そしてリーダーはこういう環境を整えることが役割であると知っていること・・・
そういう組織こそが大きな成果を生み出せるのではないかと思います。