本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「個人のポテンシャルを解き放つには」をテーマにお伝えします。
個人のポテンシャルを解き放つには

志村祥瑚さんという精神科医でマジシャンの仕事をされている方がおられます。
ある学術団体のプログラムで志村さんの講演を聴かせていただいたのですが、
個人の成長可能性を大きくするためには、自分のセルフイメージを決め付けずに、様々な自分、なりたい自分を思い描き、
自ら一歩踏み出してみることが大切である、ということを言われていました。
人間は自分の思い込みによって現実を捉え、脳はその思い込みに沿うような予定調和の世界を予測して現実と向き合います。
ですから、その予定調和が崩れたときに、不安や恐れ、怒りを感じ、大きなストレスを感じます。
私自身も仕事の上で、自分にとってできる限りの貢献や支援を行ってきているつもりですが、一方で様々な批判や否定をいただくこともあり、そういう場合には大きなストレスとともにそういう他者の言動に対し怒りすら感じてしまい、
自分自身の心のコンディションを自ら崩してしまうこともあります。
志村さん曰く、そういう負のスパイラルに陥らないために、「脳のストレッチ」が大切であるとのこと。
すなわち、思い込みを外し、認知の癖を修正していくことで、「いま感じている自分の世界が全てではない」
ということに気付いていくことが大切であるということです。
そういう意味でマジックは、人間の思い込み(ロジカルな知覚・思考)の盲点をつくものです。
先日もある居酒屋で、その店に出入りしているマジシャンに手品を目の前で見せてもらったのですが、
まったく仕掛けが分からないままショーが終わってしまいました。
「あるはずのものが無い」「いきなりモノが瞬間移動した」などは手品の基本ですが、
志村さんの講演中に彼のマジックを本人の解説付きで見させてもらったら、
なぜこんなにも単純なことに人間は惑わされてしまうのか、と改めて感じた次第です。
ですから、思い込みから解放されること、すなわち物事を幅広い角度から捉える眼を持てれば、
不安や脅威と見えていることもチャンスと考え直せる可能性があるということだと思います。
そのためには、不安と向き合いながらも幅広く思考し、自ら一歩を踏み出す勇気を持てれば、
いままで見えなかった世界を見ることができる・・・そう信じて前に進むことなのだろうと思います。
「自分の働いている会社=自分の人生」ではありません。
広い視野と自分の可能性を信じて、自分らしく生きることのできるチャンスを思い巡らしたいと思います。