本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「脳科学セミナ―で学んだこと」をテーマにお伝えします。
脳科学セミナーで学んだこと

先日、東大教授の池谷裕二先生が講演されたセミナーに参加させていただきました。
池谷先生には、ブルーバックスをはじめ多くの著書があり、
私も何冊か読ませていただいていたものですから、非常に楽しみにしていました。
まずは「記憶力は衰えない」という話。
私は、加齢とともに記憶力は自然と衰えるものだと確信していました。
自分自身のことを振り返っても、思い出せないことがとても多いことを感じていましたし、
在学中の大学院の試験勉強をしていても、記憶定着に時間がかかっています。
けれども、池谷先生曰く、以下理由により、そのように感じるだけであるとのことです。
・保有している知識が増えたから。
・覚えようと努力していないから。
・時の進みが速く感じるから。
・記憶力が衰えるといわれているから。
・生きることに慣れてしまったから。
確かに記憶の低下の原因として、「他の記憶との干渉」があることは否めません。
若いころが、まるで他に考えることが無かったのかといえば、そんな単純ではなかったとは思いますが、
現状の背負っている役割を考えれば、確かに記憶の検索に難儀する状況であることは事実でしょう。
また、「興味のあること」に対しては、大人でも若者並みに記憶機能は冴えるのだそうです。
そのようなケースでは、記憶を司る海馬からシータ波がたくさん出るようで、
このシータ波が記憶増進に役立つのだとのこと。
もう一つ池谷先生が教えてくださったことでとても印象に残っていることがあります。
それは、現在では、自分自身のDNAをある程度解明できるのだそうです。(米国では100ドルで可能だそうです)
DNAを調べると、病気のかかりやすさ、持っている頭脳や身体的才能、性格などがある程度わかるのだそうで、
特に予防医学の点で注目されているようです。
但し、「才能が分かってしまう」ということは、「努力してもできる人とできない人がいる」ということです。
ですから、教育現場における「平等主義」というのは、この視点で考えればある意味では残酷なことですよね。
人は「生まれながらにして不平等」。
では、DNAのせいにすれば、だれもが努力をしなくても良いのか・・・・。
私はそうは思いません。
可能性の上では確かに個人差は存在しているのでしょうけど、それを活かす「環境」、「取り組む思い」こそが大切だと思います。
桶狭間の戦いで、圧倒的に戦力不利であった織田軍が今川軍に勝てたのはなぜか。
また世界ランク15位の日本ラグビーチームが、わずか数年でワールドカップ8強に躍進できたのはなぜか。
「何か」をしたから逆転劇も起こるわけです。
自分の損得だけ考えて、自ら汗をかこうとしなければ、新しい価値を生み出すこともできないし、番狂わせなどは起こりません。
内なる思いを秘めて、努力を怠らず、そして努力の方法を誤らず、自分にしかできない貢献をしていきたいと思います。