本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「よりよく共存するには」をテーマにお伝えします。
よりよく共存するには

心理学の世界に、「錯視」というテーマがあります。
有名な錯視の一つに、「エビングハウス錯視」というものがあります。同じ大きさの円形でも、周囲をその円よりも大きな円で囲まれた場合と、周囲をその円よりも小さな円で囲まれて描かれた場合とでは、元の円形の大きさが違って見える、というものです。
仕事生活を送っていく上でも、同様のことが考えられると思います。その人のスキルや技量は、周囲にいる他者の存在によって相対的に価値が決まる・・・。逆に言えば、周囲の他者の存在が変われば、その人の相対的な価値も変わる。
厳しいようですけど、少なくても営利目的の企業であれば、自らがスキルや技量を向上させていかなければ、年齢や社歴に関係なく、おのずと相対的な成果によって評価が決まっていくのはやむを得ないことです。
エビングハウス錯視の例でいえば、自分は変わらなくても、大きな円に囲まれる、あるいは周囲が成長して自分よりも大きな円になってしまうと、自分自身は変わっていなくても、自分の相対的な価値は低くなってくるように見えてしまう、ということです。
自分自身が変わっているわけではないのに、そのような相対的な評価で価値が上がったり下がったりするのは、ある意味では納得できないことですね。
しかしながら、「共存する」ということは、常に相対的な視点で個々の立ち位置を求められること、そしてその役割の変化対応を柔軟にやっていくことでもあるかと思います。
それにもまして大切なことは、相対的に判断される自分の役割部分と、本質的に変わらない(変える必要のない)自分自身の生き方の部分の双方を、しっかりと分けて考えることだと思います。
パソコンは、OS部分とアプリ部分とに分けられます。いくらアプリが優秀な面白いものでも、OSがしっかりと機能していなければ、継続してそのアプリを使うことは不安ですよね。
私たち自身もそうではないでしょうか。
人間力、といったら簡単にまとめすぎているのでしょうが、
人間としてのOSの幅が狭い、あるいは自己OSの都合でしかアプリを動かさない・・・
そんなような場合には、いくら表面的な知識を取り入れたり人間関係を取り繕っても、共存関係を上手く維持できないです。
自分自身のOSにあたる部分をしっかりと見つめ直し、
不器用ながらもいろいろなアプリに適用できるような基盤を持ちたいものです。