本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ2~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「リーダーシップはスキルである」をテーマにお伝えします。
リーダーシップはスキルである
2015年のラグビーワールドカップで、日本が南アフリカに劇的勝利を挙げたことは、記憶に残っていらっしゃる方も多いのではと思います。
エディ・ジョーンズさんが2012年から日本チームのヘッドコーチに就任し、世界ランキング10位を目指して歩み始めたころ、メンタルコーチとして招聘されたのが、現役時代に短距離のアスリートとして活躍された荒木香織さんでした。
荒木さんは、20歳台前半で渡米し、10年ほどスポーツ心理学を勉強されています。荒木さんの著書『ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」』や、慶応MCCのクロシングでの彼女の講演を通して非常に考えさせられたことがありましたので、以下に紹介させていただきます。
まず荒木さんが行ったことは、エディさんの指導のもと、選手に「考える習慣」をつけることを徹底的に指導したことです。スポーツですから、パワーもそうですが技術も必要ですので、ただ「がんばります」という気持ちだけで勝利に結びつくわけではありません。1つ1つのプレイに対する指導の意味を、選手自身が腑に落ちるまで考えることを習慣づけたそうです。また、リーダーシップを自ら発揮できるように、スタッフリーダーだけでなく、選手の中にもリーダーグループを作って、デュアルリーダー体制でチームを率いていったことが、新生日本のラグビーチームの特徴だったそうです。
リーダーシップとは、「目標を達成するために、組織されたグループに対して、影響を与える個人の行動過程」と定義できます。メンバーの能力を最大限に引き出すことが発揮の目的となります。
荒木さんは講演の中で、以下4点がリーダーシップの要素であると述べられています。
- 理想的な影響力(=チームのロールモデルとなるような行動、誠実さ)
- 鼓舞するモチベーション(=リーダーの行動を通してチームメンバーの内的動機を引き出す)
- 思考力への刺激(=メンバーが自分自身を省みる、また組織の意思決定に貢献するよう仕向ける)
- 個々への配慮(=メンターとしての共感、同情)
そして、一番印象に残ったことは、「リーダーシップ」も「メンタル」も「スキル」である、という言葉です。
「最初からリーダーシップを伴った人間はいないし、メンタルが生まれつき強い人もいない。それは、訓練と準備を繰り返して、その人自身が身につけていく「スキル」です。」という荒木さんの言葉に、非常に勇気づけられました。
リーダーははじめからいるのではなく、自身の訓練と周囲の期待とにより、なるべき人がなっていくものなのだと、ウォレン・ベニスも著書の中で述べています。
自分自身、しっかりと自己研鑽をしていきたいと思います。