本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「今見えなくて、後になって見えてくるもの」をテーマにお伝えします。
今見えなくて、後になって見えてくるもの
私は30年ほど前、大学卒業後ある日系食品会社に入社しましたが、入社研修後に配属となったのは、英語と数字しか取り扱わないような、バイオ系の輸入商社への出向でした。
学生時代から不得手だった英語を毎日使わざるを得ないと感じたときは、会社選択を誤ったものだと、本当に後悔していました。
入社後5年ほど英語と数字を中心とした国際物流の仕事に携わりましたが、やはり8割方は苦しかった思い出の方が多いですね。
でも、英語を使わざるを得なくて、当初は身銭を切って英語の勉強を始めました。少しすると、いつもは先輩宛のFAXだけしか着信されなかったのが、いつの間にか自分宛のFAXが着信されるようになり、それがとてもうれしくて、更に勉強を重ねるようになりました。
出向を解かれて本籍の会社に戻ってからは、英語を使うことはめったにありませんでした。しかしわけあって離職し、のちに現在の会社に世話になるようになった後に、若かりし頃、何も分からずしゃにむにやっていた英語学習が、とても活きてくることを体感しました。
日々の英語交信文書や国際電話だけでなく、通訳までの重責を負うこととなったからでした。
卒業後の数年間の思い出は、先にも書きましたように決して楽しいものではなかったですが、その時には見えなかったものが、15年も経過して、それから形となって見えてきたことは、私には非常に驚きでした。やはり人生には無駄なことが無いんですね。
上述の経験を思い出すと、不条理と思われる環境は、自分にとっての試練であり、将来はその経験を活かせる機会が何らで与えられるのではないかと、そのようにも考えることができます。
「私」に負けずに、頑張って日々歩みたいと思っています。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。