本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「無心で走ること、そしてマインドフルネス」をテーマにお伝えします。
無心で走ること、そしてマインドフルネス
少しだけ私自身のことを紹介させていただきますが、私が習慣にしている4キロのジョギングは、隅田川の川沿いのコースです。川と緑のハーモニーがとても美しく、私と同様ジョギングコースにしている方も多くいらっしゃいます。汐入大橋からは東京スカイツリーが一望でき、堀切駅の近くに設立されている東京未来大学は、昔流行った学園ドラマの舞台となった学校跡地に大学を創設したとのこと、これだけでも東京下町の雰囲気を感じさせてくれます。
特に夏季のジョギングは、4キロといえども非常に身体には堪えるのですが、外出も中々難しい状況の中で、身体を動かすことによって暑さにも慣れ、また「無心」で走ることにより精神的な解放感を味わえることも、私が習慣にしている理由です。
以前に、「禅とマインドフルネス」というテーマで、禅宗の精神科医のお話しを聞く機会がありました。その方いわく現代人は多くの時間を「ながら」状態で過ごしている、とのことです。「~しながら別のことをする」、「~しながら考える」など、心と身体が不一致の状態のことをいうのだと思いますが、データ上は、「ながら状態」よりも、「目の前にことに集中している」という状態の方が、幸福度が高いそうです。
脳は、意図的に何かをしていなくても、基礎消費をしています。冷やすものが無くても冷やし続ける冷蔵庫の電気みたいなものですね。(これを「デフォルト・モード・ネットワーク」の働きというそうです)
「目の前のことに集中する」と、デフォルト・モード・ネットワークの働きを抑制することができるので、オーバーヒートも防げるし、理にかなった消費をするので心身が快適な状態になるのでしょう。
さらに「非生産的な没頭」が心の助けになる、とまで話されておられます。「フロー」の状態のことですね。
ジョギングもそれに似たところがあるように思います。走り始めは何かを考えたりしているのですが、そのうちに「ただ走ること」だけに集中し、何も考えない状態で走り続けます。身体は「きつい!」と言っていますが、心は結構休養している感じもします。
マインドフルネスとは、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずにとらわれのない状態で、ただ観ること」と定義されています。
良い意味で物事に「没頭」できるような、そういう環境を少しでも増やしていきたいと思いました。ジョギングも継続していきたいです。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。