本コラムでは、当社コンサルタントの武田が、「キャリアエッセイ~自分のミッションを求めて~」と題し、キャリアを考える上でのヒントをご紹介させていただきます。今回は、「人生が問い掛けてくるもの」をテーマにお伝えします。
人生が問い掛けてくるもの
深層心理学で有名なC.G.ユングが「人生の正午」という理論を提唱していることは多くの皆さまがご存知のことと思います。
ちょうど40歳頃を境にして、まるで太陽が正午を超えて午後になり、光を照らす角度が午前とは異なってきた頃、今まで見えてこなかった影の部分が明らかになってくる・・・
つまり人生を逆算して考えるような成熟段階に入ったときに、今まで人生を走ることに精一杯で考えることもなかった視点が、新たに与えられるような気がしますね。
私自身、50歳台半ばですが、残された人生でこれから自分には何ができるのか、何をしなければならないのか、そんなことを考え始めました。人生100年時代といっても、正午は超えた感は否めないです。
発達心理学的な見方をすれば、E.エリクソンが云う、成人期において課題となる「世代性と停滞」という、まさしくその課題に直面しているのだと感じています。
そんな中で私が大切にしている考え方があります。
「私のしたいこと、やりたいことをするのが人生だ」という人生観から、「私のなすべきこと、私がこの世に生まれてきたことの、意味と使命とを実現していくことが人生だ」という人生観へと転換することの大切さです。
つまり、「固有の使命」というものが人それぞれには与えられている、ということです
愚鈍な私には、今現在の職場や家庭における近未来レベルのことは別として、本来的に「問い掛けられているもの、求められているもの」はまだくっきりとは見えてきていません。「このような生き方、このような働き方が自分らしいのではないか」と考えていることはありますが、本来与えられている使命に繋がるものなのだろうか・・・
それでも、「自分」に負けずに追い続けていきたいと思います。
もちろん、正解は無いのでしょうし、もしあるとしたら、この世での命を全うするときに、「これでよかった」と思える自己肯定なのかもしれません。
人生の試合終了を告げるホイッスルが鳴ったとき、コートの上で、疲れてはいるけどもさわやかな充実感を感じているプレイヤーのような、そんなゲームオーバーになったら素晴らしいことだと思っています。
■執筆者プロフィール
武田 宏
日清製粉グループオリエンタル酵母工業にて海外貿易業務に従事。その後同社にて人事制度改革プロジェクトに参加し、「人」という経営資源のあるべき姿について学ぶ。2001年株式会社ニッペコに入社。海外企業(独)との資本・業務提携のプロジェクト遂行、人事・経理・情報システム等の管理部門責任者を経て、現在は人材育成・社員相談業務を主とするキャリア支援室室長を務める。合わせて社長付として経営補佐の任も担う。
支援人事、キャリア開発支援に携わり15年が経過。現職の傍ら、現在放送大学大学院にて臨床心理課程で「心」を学び、組織視点だけでなく個人視点での成長にコミットできるよう研鑽を重ねている。2020年よりタラントディスカバリーラボ代表、㈱セイルコンサルタントとして、キャリア開発支援活動を開始。