人は生きていく過程で、人と関わりを持たなくては生きていけません。例えば、学校や職場、家庭もそうです。ですが、すべてが自分の理想通りになるわけではありません。そのため、大なり小なり不安やイライラすることがあると思います。過度のストレスが溜まってしまい、怒りによって人を傷つけてしまうこともあるでしょう。後から自分の行動を振り返って後悔の念に囚われてしまい、さらなる負の連鎖に繋がってしまうこともあります。
ここでは、アンガーマネジメントを理解し、人間関係を円滑にするためのお手伝いができれば幸いです。
アンガーマネジメントとは何か
まずはじめに、アンガーマネジメント(Anger management)とはどういったものかを説明していきます。直訳すると「怒りの管理」、感情の管理方法となります。感情の管理といっても、無感情に生きていこうというわけではありません。
人には、喜びや楽しいといったポジティブな感情だけではなく、怒りや哀しみといったネガティブな感情が存在します。 「その怒りの部分をコントロールして、人間関係をスムーズに進めていきましょう」ということが、アンガーマネジメントです。
怒りの感情とは何か
では、次は怒りについて考えていきましょう。あなたは、何に対して不満や不安などの負の感情を抱きますか。
例えば「こうあるべき」「みんなはできているのに」「もっと自分を見てほしい」など、不満に思うことが積み重なっていくと、ストレスが溜まっていきませんか。そのストレスをうまく発散できている人はいいですが、溜め込んた結果、感情がコントロールできず他者への暴言や暴力に繋がってしまう人もいることでしょう。
わかりやすく例えるなら、コップと水を思い浮かべて下さい。自分の負の感情を水に、心の余裕をコップに置き換えてみるとわかりやすいでしょう。一滴一滴ではコップはすぐにいっぱいになりません。そして、溜まっていく水をうまく飲み干すことができる人のコップがいっぱいになることはありません。しかし、その水を上手く飲めない人は、コップから水が溢れてしまいます。
そのあふれた水が怒りとなって、周囲に怒りをぶつけてしまうことになるでしょう。
そうなる前に、その怒りを少しでも減らしていきましょう。
アンガーマネジメントの必要性、効果について
必要性について
ここでは、ある会社での出来事を例にとって説明していきましょう。
とある上司が、何度も同じミスをしてしまう部下に、指導目的で強い口調で指導をしたとします。その上司は、自分が新人の頃に同じような指導を受けて成長していった経験から強い口調で指導を続けていました。上司にとって、強い口調での指導はその部下の成長のためという認識です。
では、指導を受けている部下はどう思っているでしょう。確かにその指導方法で成長できる人もいると思いますが、強い口調での指導に対して恐怖や威圧感を感じ、委縮してしまう人も多くいることでしょう。負の感情をため込んでしまっている状態です。
その結果、指導を受けた社員はモチベーションが下がり、仕事効率に影響が出る可能性が高いでしょう。
さらに、上司は「パワーハラスメントをする人」と捉えられてしまい、職場環境全体に影響を及ぼすリスクも出てきます。
その改善策のひとつとして、アンガーマネジメントを導入している企業が多く存在します。
企業側の効果について
アンガーマネジメント導入によって、以下の効果があげられます。
- 優秀な人材の流失の防止
- 働きやすい会社として、企業イメージアップに貢献
- 作業効率の向上により、会社の収益に繋がる
- ハラスメント問題の改善
- 離職率の低下
従業員側の効果について
従業員側にはどんな効果が出てくるのでしょうか。
- 言葉による意思の疎通が取りやすくなる
- ストレス軽減
- 生産性の向上
アンガーマネジメントを実行してみよう
では、アンガーマネジメントを行うにあたって、どのようなことが必要になってくるのでしょうか。
まずは、自分の感情について考えてみましょう。
・Level0:穏やか
ストレスや不満、不安がない状態
・Level1:イラっとしている
不快感、不愉快が出てきている状態
・Level2:イライラしている
顔には出ていないが、不満、不愉快など、現状に満足できない状態
・Level3:噴火寸前
常にイライラし、自分の感情がうまくコントロールできない状態
・Level4:噴火
感情のコントロールがまったくできずに、震えが止まらなかったり、何も手につかない状態
まずは自分が今、どのLevelにいるのかを客観的に理解することによって対策が練りやすくなるでしょう。
アンガーマネジメントの具体的な方法は、下記となります。
①6秒ルールを実践する
アドレナリンは6秒で体内を回ると言われています。そのため、「6秒数えてから行動する」ことから始めてみてはいかがでしょう。
②気持ちを落ち着かせる言葉を作る
「私は、大丈夫」「怒らなくても大丈夫」など、自身の言葉で落ち着くような言葉を作って心の中で唱えてみるのもいいでしょう。
③感情を分析する
今の感情がどのLevelか、客観的に見ることによって気持ちを落ち着かせてみましょう。
④その場を離れる
怒りや不安が高まった場合、その原因から目を反らすことによって感情が落ち着く場合もあります。席を外し、物理的にその場から離れてみましょう。
⑤「こうあるべき」「こうすべき」を手放す
自分で作ったルールに縛られてはいませんか?「べき」「ねば」を一旦手放してみましょう。
⑥カウンセリングを受ける
自分の感情がコントロールできず負の感情を爆発させてしまう前に、一度カウンセリングを受けてみてはどうでしょう。第三者に自分の気持ちや考えを聞いてもらうだけで気持ちが落ち着く場合もあるでしょう。
まとめ
怒りに身を任すのではなく、怒りをコントロールしてより良い環境で生きていくことを目指してみませんか。自分の感情と向き合い、認めてあげて下さい。それによってコミュニケーションが円滑になり、生産性の向上や意思の疎通、ハラスメント問題の改善などいろいろな効果が期待できます。
アンガーマネジメントを知っていただき、少しでも負の感情に左右されない環境づくりのお手伝いができれば幸いです。