サーバントリーダーシップとは、リーダーが組織の目指すべき未来を示し、部下の力を最大限に引き出すための支援型リーダーシップです。ちなみに「サーバント」とは「奉仕者」を意味し、リーダーは「縁の下の力持ち」として部下やチームメイトへ「奉仕」するという意味合いから、この言葉が使われています。
ここでは、最近のリーダーシップに求められている傾向や、サーバントリーダーシップの特徴、効果などを挙げてご紹介します。
サーバントリーダーシップとは
「リーダー」といえば、何を想像しますか?「みんなを引っ張る」「力強い」「先頭に立って仕事をする」というイメージが一般的に想像できると思います。1980年~1990年代には、このような「支配的」な上司が組織をグイグイと引っ張っていき、成果を叩き出すといった風潮がありました。このような支配型リーダーがいる組織では、グイグイと引っ張るリーダーが表のプレイヤーとして仕事をすることで実績を出すことは可能でしょう。
しかし、一方で部下はどうでしょうか? 支配型リーダーから指示を出されると、指示通りのことをできる人材はたくさん育ちますが、言い換えれば「言われたとおりにしか動かない」部下が育ってしまうのです。このような背景から、西暦2000年初頭よりリーダーシップにおける見方は変わってきました。
最近では、様々な場面での多様性重視化、新型コロナウイルスによる社会変化、高齢化社会による人手不足の深刻化など、社会全体において不測の事態が増えてきています。こうした時代背景の中で、組織における指示系統も支配的リーダーの指示だけでは難しくなってきているのが現状です。この状況を打破する為にも、上司の支援や奉仕によって、部下各々が成長し、指示を得なくてもあらゆる場面に対応できるよう、サーバントリーダーシップの考え方が脚光を浴びてきています。
サーバントリーダーシップに求められるアルゴリズム
リーダーが組織をよくするための工夫や姿勢として、サーバントアルゴリズム(ALGR)をご紹介します。
Affirm:絶対否定はせず、部下やチームメイトの話を肯定する。
Listen:話をしてもいい雰囲気を作り、ゆっくりと話を傾聴する。
Gather:集まって会合を持つ。
Remaind:答えを与えずに、気づかせる努力を!
いずれにおいても、一歩引いて見守る奉仕での姿勢が必要です。これらを継続的に行うことで、部下とのコミュニケーションはスムーズになり、組織としてもまとまりを帯びてくることが考えられます。
サーバントリーダーシップの効果とは?
サーバントリーダーシップにより、部下や組織に4つの効果が期待できます。
① コミュニケーションの活性化
サーバントアルゴリズムにより部下はリーダーに話を聞いてもらえる安心感が生まれ、リーダーとのコミュニケーションが増えることにもつながります。また、各自が「自分はリーダーから信頼されている」「自分はみんなの役に立っている」というポジティブな肯定感を持つため、部下同士のコミュニケーションも自然と増えてきます。
② 行動の自律化
リーダーは組織のゴールや方針を示しつつ部下の支援に力を注ぐことで、部下はリーダーの支援を受けながら安心して動くようになり、行動が自律化し周囲とも協力して問題に対処できるようになります。
③ 問題点の共有とスピード解決
たとえリーダーの後方支援があって部下が行動を自律化できていても、仕事にはあらゆるトラブルや失敗がつきものです。 トラブルや失敗はそれ相応の問題点が潜在しており、従来ならリーダー一人の力で問題点を見つけ、解決することが求められていました。 しかし、リーダーや部下同士のコミュニケーションが活性化していれば、問題点は即座に見つかりやすく、組織の中で共有されやすくなります。 共有が早ければ、解決に向けて、問題点再認識と対策を立てることで、組織全体で問題解決に向かうことができます。
④ 組織貢献の意識化
部下の行動が自律化し、コミュニケーションが活性化し、問題点を共有・解決していけば、組織で成功する体験が増えてきます。成功体験には、万人に共通して快感を伴います。 ましてや組織としての成功となれば「やってきてよかった」「これからもがんばろう」といった組織全体の一体感やモチベーションを感じることにつながります。 そして、自分が属している組織のことに誇り持てるようになり、今度は組織の中でどのようにして貢献できるかを考えるようになります。これを繰り返すことで、組織として洗練され、結果顧客や取引先からの信頼といった組織への評価向上へとつながるのです。
まとめ
いかがでしたか?
「組織のために」と日々頭を悩ませている管理職の方は数多くいらっしゃると思います。いままでとは違うリーダーシップの考え方について、クエスチョンマークが少しでも除去できればと思いまとめてみました。
間違いなく最近の時代背景は変化を伴うことが増えてきています。変化には変化で対応しないと前には進めません。
サーバントリーダーシップは、この変化のある時代の中で、働く人や組織を助ける一つのツールとなりつつあるのです。